第66章 元通りには戻れないの?

時枝秋のこの戦いは、彼女の完全な勝利とファンの獲得で幕を閉じた。

木村裕貴は彼女のことを完全には好きになっていなかったが、マネージャーとして番組側と厳正な協議を行い、番組の競技システムと進行について強い意見を述べた。

番組側は、今後このような進行方法は二度と行わず、出演者に抜け道を与える機会も作らないことを約束した。

「起こるか起こらないかはどうでもいい。どうせうちの石ちゃんは対応できるから」

ディレクターは顔を青ざめさせた。確かに、他の出演者なら対応できなかっただろう。

「石ちゃんはこの数日間練習に来ない。休養が必要だ」

ディレクターは了承した。心を痛めながらも、我慢するしかなかった。

今、時枝秋は最も注目を集めている時期で、番組側は彼女にインタビューやイベントの収録をさせたがっていた。