横澤蕾は眉をひそめた。「どうしたの?」
小林凌は当然新しいアルバムを出すつもりだった。今『國民シンガーソングライター』の番組が人気絶頂で、番組の熱気に乗じて新アルバムを準備し、この勢いを借りて自分の地位をさらに固めようとしていた。
「私、いくつか曲があるんですけど、お兄さん使ってくれませんか?」と木村雨音は尋ねた。
横澤蕾は少し考えた。木村雨音の作曲能力はいつも悪くなかった。これも以前、小林凌が彼女と関係を深めようとした重要な理由の一つだった。
しかし、二人はその後話題性を利用する件で亀裂が生じていた。それなのに木村雨音はまだ小林凌のことを考えているのか?
横澤蕾が黙っているのを見て、木村雨音は言った。「もし使いたくないなら、他の人に提供します。ただ、本当にもったいないと思って、まずお兄さんに聞いてみただけです…」