時枝秋は無意識に視線の方向に顔を上げた。
藤原修の清潔感のある深い瞳と目が合った。
彼は風呂上がりで、バスタオルを腰に巻いて下半身を隠していた。
露わになった胸と腹部には、薄いながらも目に見えて逞しい筋肉が浮き出ており、筋の線がはっきりとしていた。完全には拭き取れていない水滴が、筋肉の輪郭に沿ってバスタオルの下へと消えていった。
時枝秋の頬が、たちまち熱く染まった。
彼女は藤原修の体つきが良いことは知っていたが、こんなにも素晴らしいとは知らなかった。
彼女は色目で人を見る性格ではなかったが、この時ばかりは、頭の中に浮かぶ艶めかしい想像を抑えきれないことを認めざるを得なかった。
そう思った瞬間、時枝秋はすぐに視線を外し、顔を横に向けた。
藤原修は薄い唇を軽く噛んで、バスローブを手に取って着用し、見事な肢体を全て隠した。