藤原修は彼女を抱きしめ、まるで自分の骨と血の中に溶け込ませたいかのような強い力で抱きしめた。
時枝秋は微笑んだ。
彼女には藤原修の緊張が見て取れた。
以前、自分が軽率にも女の子が好きだとか、飛行機で出て行くなんて言ったせいだ。
確かに最初は少し怒っていたが、彼があの人たちを早々に引き上げさせ、自分の前で戸惑いを見せる姿を見て、時枝秋はもう怒る気持ちが消えていた。
疑念は完全に彼の心から取り除かれたが、安心感というものは、ゆっくりと育てていかなければ強くならないものだ。
今はまだ小さな芽に過ぎないが、いつか、その安心感は彼の心の中で、天を突く大木にまで育つだろう。
……
二人は車で帰宅し、時枝秋は葉山彩未との接触について全て彼に話した。
話さなければよかったのに、それを聞いて、藤原修は葉山彩未が彼女の両頬に残した熱いキスを思い出してしまった。