こうして、木村雨音と重岡亜紀は、まだ残ることができた。
ずっと黙っていた重岡尚樹が再び口を開いた。その声はアナウンサーのように標準的だった。「根本が腐っているのに、枝葉が茂るのを期待できるのか?」
安藤誠と木村永司は即座に黙り込んだ。
……
最後の出場者が舞台に上がった後、観客投票の結果が公開された。
今夜の重岡亜紀と木村雨音の演技は、ほぼ完璧だった。
むしろ、二人とも普段以上の高いレベルを見せた。
二人とも心の中では安心していて、マスクの外に見える目には自信が満ちていた。
票数が順番に発表された。
文岩薫里は予想通り、一位を獲得した。
その後に続いたのは、夢ちゃんの斎藤恒介、石ちゃんの時枝秋、花崎の堀口楓、金の石田亮二、そして赤司宏司だった。
そして木村雨音と重岡亜紀は、なんと最下位の二人となり、予想通り脱落した。
大波乱!
大番狂わせ!
結果発表の時、ファンたちは大きな衝撃を受けた。雨粒ちゃんと旗ちゃんがこんなに低い票数で脱落するなんて?
二人とも、まさかこんな結果になるとは思っていなかった。
試合前、彼女たちは票の買収を担当する人々と連絡を取り、万全を期していたはずだった。
相手は断言していた。「これくらい大したことないよ。以前の国家レベルの大会でも、上位三位の中に私たちの仕事が入っていたんだ。私たちの票数は本物と見分けがつかない。誰にもバレないよ」
もちろん、悪事を働けばいつかは発覚する。
しかし、彼らを直接摘発するコストは非常に高かった。
どの番組制作側も、試合中の一票一票を完全に明らかにするために、高度な技術者を雇うような予算はなかった。
『國民シンガーソングライター』はオーディション番組に過ぎず、なおさらそこまでする必要はなかった。
彼らは自信満々だった。
しかし、その自信は壁にぶつかった。
不公平を許さない人がいたのだ。
重岡亜紀と木村雨音は魂の抜けたように降りてきて、ちょうど堀口楓と時枝秋が楽しそうに話しながら降りてくるところと出くわした。四人が向かい合い、目には火花が散るような敵意が見えた。
時枝秋が先に言った。「行こう」
堀口楓は時枝秋の言うことに従い、躊躇なく一緒に立ち去った。
木村雨音は手のひらを強く握りしめ、顔が歪んだ。