第116章 現場で不倫を見つかった感覚

もし、もしあの時に票の不正がなければ……二人とも確実に昇格ステージに立てていたはずだった。

この栄誉を何の負担もなく楽しめたはずだった。

彼女たちは、チケット転売業者に送金した手を切り落としたいほど後悔していた。

しかし、後悔しても何の意味もなかった。

重岡尚樹が決めたことは、誰にも変えることはできなかった。

そして票の不正については、誰にも言えず、ただ密かに祈るしかなかった。転売業者が警察に捕まらず、自分たちに累が及ばないことを。

木村雨音と重岡亜紀の退場に、事情を知らない講師や選手たちは慰めの言葉をかけていた。

特に普段から仲の良かった選手たちは、涙を流して泣いていた。

紺野広幸も重岡亜紀のことを残念がっていた。

小林凌は木村雨音のことを惜しんでいた。

夏目休は前回サポートゲストとして来ていて、この数日間市内に滞在してイベントに参加していたが、木村雨音が再び脱落したと聞いて、わざわざ車を走らせて会いに来た。

木村雨音のことを本当に極限まで心配していた。

時枝秋は堀口楓と別れを告げた後、マネージャーの車に乗った。

彼女が来るのを見て、木村裕貴は慌てて携帯を片付け、表情が少し不自然だった。

時枝秋は何も見なかったふりをして、車に乗ってから窓の外に視線を向けた。

木村裕貴は軽くため息をつき、まるで不倫現場を押さえられたような気分だった。

彼はただ木村雨音を少し慰めただけなのに。

時枝秋が冷やかな言葉を投げかけてくれた方が、まだ気が楽だったかもしれない。

しかし時枝秋は全てを見透かしているようで、何も気にしていないような態度を取り、それが彼の心を落ち着かなくさせた。

……

横澤蕾は木村雨音を慰めた:「大丈夫よ、昇格できないならそれでいいの。あなたの亮麗な広告が今夜公開されるでしょう?リラックスして、このショーがなくても生きていけるわ。」

木村雨音の現在の不安は、脱落だけでなく。

重岡尚樹の言葉が、ダモクレスの剣のように頭上に吊るされていた。

いつ落ちてくるかわからない。

ツイッターでは、今夜の昇格戦が当然いくつものトレンドを占めていた。

#雨粒ちゃん脱落#

#雨粒ちゃん残念#

ランキングは全て上位を占めていた。