第116章 現場で不倫を見つかった感覚

もし、もしあの時に票の不正がなければ……二人とも確実に昇格ステージに立てていたはずだった。

この栄誉を何の負担もなく楽しめたはずだった。

彼女たちは、チケット転売業者に送金した手を切り落としたいほど後悔していた。

しかし、後悔しても何の意味もなかった。

重岡尚樹が決めたことは、誰にも変えることはできなかった。

そして票の不正については、誰にも言えず、ただ密かに祈るしかなかった。転売業者が警察に捕まらず、自分たちに累が及ばないことを。

木村雨音と重岡亜紀の退場に、事情を知らない講師や選手たちは慰めの言葉をかけていた。

特に普段から仲の良かった選手たちは、涙を流して泣いていた。

紺野広幸も重岡亜紀のことを残念がっていた。

小林凌は木村雨音のことを惜しんでいた。

夏目休は前回サポートゲストとして来ていて、この数日間市内に滞在してイベントに参加していたが、木村雨音が再び脱落したと聞いて、わざわざ車を走らせて会いに来た。