第117章 目が利くね

雨粒ちゃんは昇級できなかったものの、すべての注目を集め、その話題性は文岩薫里をわずかに下回るだけだった。

木村裕貴は時枝秋のために反撃しようと思ったが、相手は彼の大好きな木村雨音だったので、考えた末、やめることにした。

どうせ時枝秋の収穫は確かなものだし、木村雨音はただ話題に便乗しているだけだから、そうさせておけばいい。

その夜、木村雨音が亮麗のために撮影したスキンケア商品の広告が、この機を逃さず公開され、かなりの注目を集めた。

みんなが木村雨音に同情している時期で、必死になって買い物をし、勢いは上々だった。

ファンは買い物をしながら、時枝秋を踏みつけるように言った：「石ちゃんが代言者でなくて良かった。そうでなければ、今夜の売上は見られたものではなかっただろう！」

「そうよね、雨粒ちゃんの代言だからこそ、まだ一目置く価値があるわ。石ちゃんが代言者だったら、ふん、見向きもしないわよ。」

「亮麗の社長は目が利くわね！」

データが報告されると、周防社長も自分の目が確かだったと深く感じた。雨粒ちゃんは昇級できなかったが、この代言の効果は全く劣っていなかった。

「最初から石ちゃんを使わなくて良かった。」周防社長は談笑しながら、自信に満ちた口調で、気分よく言った。「彼女は私たちの配合に問題があるなどと言っていたが、彼女如きが私たちに指摘できるとでも？」

ただ周防徹だけが、上下に手配をし、さらに会社の技術者たちを見つけ出して、配合の中の一つの成分を変更するよう要求していた。

「徹さん、配合を勝手に変更することはできませんよ。これは私たちが長年の経験で積み上げてきたものです。どうして簡単に変更できるのですか？」六十歳を超える技術者が、首を振って拒否した。「これまでのスキンケア商品は問題を起こしたことがないのに、なぜ今になって問題が出るのですか？」

「私が変更しろと言ったら、必ず変更しなければならない！なぜなら、この配合は高確率でアレルギーを引き起こす可能性があるからだ。」周防徹は大声で言った。

あの配合表を受け取って以来、彼はずっとこの件について考えていた。もちろん、単に変更するだけではなく、多くの時間と実験を費やして検証していた。