第143章 これは不公平だ

ミルクティーを待っている列で、人々は藤原修と時枝秋を密かに指差して話していた。

「うわぁ、かっこいい!もしかして有名人に会えたのかな?」

「お姉さんもすごく綺麗!」

「写真撮りたい!」

時枝秋は少し考えて、マスクを取り出し、藤原修につけさせ、自分もつけた。

藤原修は彼女が大切そうにする様子を見て、自分が人に見られたくないという気持ちを感じ取り、目に笑みを浮かべた。

彼女は自分が人に見られたくないように、彼も彼女一人だけに愛でられたいのだった。

周りの人々は二人が撮影されたくないことを悟り、しばらく見物した後、仕方なく散っていった。

しかし、しばらくすると、また時枝秋の耳に声が届いた。

「これ、本当にかっこよすぎない?」

「そうそう、見て見て!」

時枝秋が振り向いた時、誰かがスマートフォンで写真を見ていた。