ミルクティーを待っている列で、人々は藤原修と時枝秋を密かに指差して話していた。
「うわぁ、かっこいい!もしかして有名人に会えたのかな?」
「お姉さんもすごく綺麗!」
「写真撮りたい!」
時枝秋は少し考えて、マスクを取り出し、藤原修につけさせ、自分もつけた。
藤原修は彼女が大切そうにする様子を見て、自分が人に見られたくないという気持ちを感じ取り、目に笑みを浮かべた。
彼女は自分が人に見られたくないように、彼も彼女一人だけに愛でられたいのだった。
周りの人々は二人が撮影されたくないことを悟り、しばらく見物した後、仕方なく散っていった。
しかし、しばらくすると、また時枝秋の耳に声が届いた。
「これ、本当にかっこよすぎない?」
「そうそう、見て見て!」
時枝秋が振り向いた時、誰かがスマートフォンで写真を見ていた。
時枝秋が興味を示している様子を見て、その人は写真を見せてくれた。「かっこいいでしょう?」
写真には見知らぬ男性の顔が写っていた。とても上手く撮られており、光の選び方も適切で、フィルターも程よく使われ、スナップショットのように見えるが、クオリティはとても高かった。
男性の雰囲気が非常によく捉えられていた。
藤原修は時枝秋の手のひらを軽くつついた。彼女が他の男性の写真に夢中になっているのを見て、少し嫉妬しているようだった。
時枝秋が振り向くと、周りの人々はまだ話し合っていた。「知ってる?これが『國民シンガーソングライター』の六強に入った金らしいよ!」
「わぁ、こんなにかっこいいなんて!でも、本当に彼なの?このプログラムって素顔を見せちゃいけないって有名じゃない?」
「多くのゴシップアカウントがこの情報を確認してるよ。」
「これはパパラッチが盗撮したものだから、金が故意に漏らしたわけじゃないでしょ。問題があっても金を責めることはできないよ。パパラッチがあまりにも執拗すぎるのが悪いんだよ。」
時枝秋は眉間にしわを寄せた。
藤原修は彼女の感情の変化を敏感に察知し、何かを思い出したように言った。「この金は、次の試合であなたのライバルなの?」
「はい。」時枝秋は頷いた。
彼女はライバルに対して最悪の悪意を持って推測したくなかった。