第161章 顔で判断する人に潰される

しかし、その立場にいる人間が、商業的な利益を完全に無視できる人が何人いるだろうか?

ただ、張本義彦はそんなことを口に出すことはできなかった。

自分の心の中だけで分かっていた、彼もやはり見た目で判断してしまったのだ!

「現在の状況は、ローズちゃんが石ちゃんに1票リードしています!たった1票差!第三の審査員の紺野広幸さんはどうしますか?」

紺野広幸は躊躇なく全ての票を時枝秋に投じた!

「また先ほどの状況に戻り、石ちゃんが19票リードです!」司会者は興奮して叫んだ。試合が白熱すればするほど、視聴率も上がるのは当然だ。

観客も沸き立った。

このような展開に、皆は大いに盛り上がった!

三人の審査員が投票を終えた後、時枝秋のリードは19票だけになった!

現在、安藤誠だけがまだ投票していない。

紺野広幸は少し息を吐き、まさか最後は安藤誠が勝負を決めることになるとは思わなかった!

明らかに、安藤誠の持つ票は、皆の最後の希望となった。

文岩薫里はついに笑顔を見せた。

安藤誠が彼女をどれほど気に入っているかは、誰の目にも明らかだった。

しかも、安藤誠は小林凌の代わりに彼女のグループの審査員となり、同じグループの関係にある。情理を尽くしても、安藤誠は全ての票を彼女に投じるべきだった。

最後の20票は、ほとんど結果は見えていた。

木村裕貴は拳を握りしめ、軽く咳をして、声が少しかすれているのを感じた。

時枝秋のファンは何かを感じ取ったようで、会場のファンは全員手を挙げて「石ちゃん!石ちゃん!石ちゃん!」と叫んだ。

時枝秋は澄んだ瞳でマスク越しに皆を見渡し、落ち着いた様子を見せた。

画面の前の視聴者もコメント欄で「石ちゃん!絶対石ちゃん!石ちゃんが一番すごい!」と連打せずにはいられなかった。

ローズちゃんのファンは不満そうに「なんで!?ローズちゃんが一番すごいじゃない!」

「石ちゃんは創作力が多彩で、歌唱力も素晴らしい、このチャンピオンにふさわしい!」

「石ちゃんはあんなに醜いから、これからステージに立つと人を驚かせちゃうよ!大会が終わったら裏方に回ったほうがいいんじゃない?」

「そうだよ、裏方に回れよ!」

「顔しか見ない馬鹿豚め!」

「焦ってる焦ってる、顔も見せられない石ちゃんの脳足りんファン!」

双方が激しく言い争った。