篠崎正秀はこの光景を目にして、思わず吐き気を催しそうになった。
彼は分かっていた。時枝秋を受け入れることは災いの元だと。クラス全体、特に男子生徒たちの平穏を乱すことになると!
彼は机を強く叩きながら言った。「君たちは何を頼りに生きていくつもりだ?今は成績だ。社会に出たら実力だ!いつまでもそんな派手な見た目ばかりに気を取られるな!ことわざにもあるように、『外見は立派でも中身は空っぽ』だぞ。分かるか?」
クラス中が大笑いした。
時枝秋は目を上げ、篠崎正秀を一瞥した。
その眼差しは淡々としており、ほとんど感情を含んでいなかったが、篠崎正秀の心を震わせるには十分だった。
しかし、彼は時枝秋のような生徒に好感を持っていなかったので、さらに続けた。「特に編入してきた生徒は、自分が勉強する気がないなら、他の生徒の勉強の邪魔をするな!では授業を始める!」
みんなは名残惜しそうに視線を戻し、ようやく静かになって授業態勢に入った。
何人かの生徒が時折こっそりと時枝秋を見ていたが、彼女が真面目に授業に集中している様子を見て、そのうち諦めて視線を戻した。
時枝秋は教科書を開き、内容に目を通した。
前世では、彼女は決して頭が悪くなかった。むしろ学習の才能に恵まれ、常に優等生だった。
ただ、後に本当の身分が明らかになった時、人生のリズムが狂ってしまった。当時彼女はまだ12歳の子供で、そんな大きな変化を受け入れられるはずもなく、次第に勉強への関心を失い、成績は下がり続けた。
常に最下位で、高校2年生を何度も繰り返したのは、藤原修との結婚を避けるための最良の方法だった。
前世では小林凌を追いかけるために、こっそりと多くのスキルを学んだ。騙された後は、痛い目に遭って本気で教科書を勉強し直した。
しかし前世では、結局逃げることはできなかった。
今、これらの教科書を開くと、記憶が脳裏に蘇り、様々な問題のパターンも自然と頭に入ってきた。
篠崎正秀が授業をしている間、彼女はテスト用紙を開き、素早く解答を書き込んでいった。すぐに終わり、模範解答と照らし合わせると、完全に正解だった。
時枝秋は微笑んだ。