第196章 不実な中傷

時枝家のこれらの事情について、外の世界はもともと知り尽くしていた。

ただ、時が経つにつれ、浜家秀実は口が上手く、尾張家のことを悪く言い続け、まるで尾張家が時枝家に多大な借りがあるかのように語っていた。

今、皆が細かく考えてみると、ようやくこのことを思い出した。

「だから、この12年間で、お互い様ということですね?」と時枝秋は言った。

「そうですね、誰が誰に借りがあるというわけではありません」と周りの人々も同意した。結局のところ、時枝お爺さんの目が悪くなって一時期没落した時枝家が再び立ち直るのを見てきたのだから。

時枝秋が幼い頃、日々の生活は楽ではなかった。

「私は後に確かに時枝家に3年間居座り、15歳の時に引っ越すことを提案しました。つまり、私が時枝家で過ごした余分な時間は、丸3年間ということですよね?」と時枝秋は尋ねた。

浜家秀実は認めざるを得なかった。「そうです」

周りの人々は少し驚いた。「たった3年間だけ?」

浜家秀実は常に外に向かって、二人の娘を育てるのが大変で、尾張家が迎えに来ようとしなかったと主張していた。

外の世界は、時枝秋が今でも時枝家に居座り続けていると思っていた。さらに、時枝秋が確かに頻繁に時枝お爺さんを見舞っていたことで、そのような誤解を生んでいた。

今、時枝秋が直接暴露したことで、皆は当然不思議に思った。

「なんだ、時枝秋は時枝家に3年間しか余分に滞在していなかったのか!」

「じゃあ、私たちがよく時枝秋を見かけたのは、実は体調の悪い時枝お爺さんを見舞いに行っていたということ?」

皆は今になってようやくこのことに気付き、浜家秀実の言葉には多くの不実な部分があったことを悟った。

時枝雪穂は母親が非難されるのを許せず、すぐに言った。「時枝秋はその後確かに時枝家にあまりいませんでした。結局、小林お兄さんについて色々なところを回り、多くの時間を費やしました。実は母は常に時枝秋に、もっと勉強に時間を使うように諭し、まだ彼女の年齢では耐えられないような事に時間を使わないようにと言っていたんです」

皆はすぐに納得し、時枝秋が小林凌を追いかけ回していた件を思い出した。

小林凌も思わず時枝秋を見つめた。