「生物の方で、補足しておきたいことはある?時間は合わせられるから」生物の先生も、この優秀な生徒に満足していた。
外部では様々な噂が飛び交っているが、先生たちの机の上に置かれた成績は、紛れもない事実だった。
国語、0点。
英語、90点。
数学、150点。
理科総合、300点。
国語については言うまでもない。時枝秋はそもそも試験を受けていなかった。
英語は時枝秋が解いた問題は、すべて正解だった。
他の科目に至っては、百パーセントの正答率だった。
これで先生たちが興奮しないはずがない。
国語の先生だけが悔しそうに、相談するような口調で言った。「時枝さん、次回は国語の試験を受けてくれないかな?」
「はい」時枝秋はすぐに承諾した。次回は父親の手術のような大きな出来事はないはずだから。
「よき生徒よ。期待しているよ!」
季山梨香は彼女を脇に呼び、励ましの言葉をかけた後、神秘的な口調で「プレゼントがあるの!」と言った。
功なくして禄を受けず。
時枝秋が断ろうとした時、季山梨香は黄岡秘巻を取り出した。
彼女は秘巻を時枝秋に渡しながら「どう?私が手に入れるのに随分時間がかかったの。他の成績が普通の生徒には渡せないわ。やる気をなくしてしまうかもしれないから。でも、あなたにはぴったりだと思うの」
試験用紙を手に持ちながら、季山梨香は花のように笑顔を見せた。
時枝秋「……」
本当にありがとうございます。
彼女はそれを受け取り、心から感謝の言葉を述べた。
「そうそう、第一中学校がもうすぐ私たちの学校を訪問するの。その時、選ばれた生徒が六田学長と一緒に第一中学校の訪問者を接待することになるわ。私たちのクラスからの推薦者の中にあなたも入っているから、準備しておいてね」
「はい」
毎年の両校の相互訪問は既に恒例行事となっており、今年もただの慣例に過ぎず、特に珍しいことではなかった。
時枝秋は実は既に木村裕貴から、今回自分が第一中学校の人々を接待することになると聞いていた。
主な理由は、第一中学校からの訪問者の中に文岩薫里がいるからだった。
文岩薫里は『國民シンガーソングライター』で優勝して以来、大きな注目を集め、学業成績も優秀だったため、第一中学校全体が彼女を看板にしようとしていた。