第217章 歓声が止まる

文岩薫里は喜びに満ちた笑顔を浮かべた。

文岩輝明自身も、プロデューサーが直接出迎えに来るとは思っていなかった。

文岩家は名が通っているとはいえ、映画界にはそれほど影響力を持っていなかった。そうでなければ、文岩輝明が一般の映画で苦労することもなかっただろう。

龍崎雄が自ら出迎えに来たことの意味は、言うまでもなかった。

しかも、レッドカーペットの上で直接出迎えるなんて!

この栄誉は、本当に過分すぎる!

文岩薫里は思わず兄を見つめ、目で語りかけた。「きっとお兄さんの演技が高く評価されたからよ!これで『烈日の青空』への出演も間違いなく決まるわ!」

文岩輝明も目で妹に応えた。「お前が『烈日の青空』の主題歌を歌いたいという願いも、きっと叶うだろうな。」

兄妹は顔を見合わせて微笑み、落ち着いた足取りの中にも喜びを隠しきれない様子で、龍崎雄の方へ歩み寄った。