第224話 たった3、4億?

時枝秋は笑って言った。「はい、兄さんの言葉を信じています」

駐車場で、堀口碧が二人に向かって早足で歩いてきて、尾張靖浩を支えた。

「あなた、大丈夫?時枝秋も来てるの?」堀口碧は心配そうな表情を浮かべた。

「お母さん、お父さんの足は大丈夫だよ」

堀口碧はそれを聞いてようやく安心したようで、嗔むように言った。「もう、あなたったら。私に付き添わせてくれないで、一人で行くって。自分で歩けるかどうか試してみたいなんて言って。私をこんなに心配させて」

「いつも君に支えてもらって、君も大変だろう。少しは休んでほしくてね」尾張靖浩は笑いながら言った。

時枝秋は両親のこの様子を見て、自分が明るい光を放っているように感じた。

堀口碧は時枝秋を見て言った。「時枝秋、今回のお父さんの足の怪我の回復は、本当にあなたのおかげよ。あなたがいるおかげで、毎日機嫌がいいの」

尾張靖浩は笑って言った。「娘が帰ってきたんだから、君だって機嫌がいいだろう?」

二人は依然として、時枝秋が彼らにとって、鍼治療以上に精神的な支えになっていると感じていた。

はっきり言えば、二人は時枝秋の医術についてよく知らず、完全に信頼しているとは言い難かった。

時枝秋は特に説明しなかった。どうせ両親に悪意はなく、それぞれの見方には限界があるのは当然のことだった。

むしろ、自分の医術を理解していない状態でも、継続的に鍼治療を受けさせてくれる、この愛情こそが貴重なものだった。

そう考えて、時枝秋は言った。「お父さん、お母さん、まずは一緒に帰りましょう。お父さんの足は、まだしばらく養生が必要です」

……

『烈日の青空』の主役を尾張靖浩に決定した後、外部では様々な議論が起こった。

若いファンたちは、尾張靖浩という名前すら聞いたことがなかった。

「誰?聞いたことないんだけど」

映画ファンが解説に出てきた。「尾張靖浩を知らないの?二十数年前の影帝よ。家で両親や祖父母に聞けば、きっと知ってる人がいるわ」

「だからこれは一体どんな映画なの?こんな年配の人を起用して?」

「錦心の脚本は青春アイドル映画じゃないでしょ。聞いたところによると、今回はとても心に響く文芸映画なんだって」

「はぁ、推しが出演しないなら、どんな映画にも興味ないわ」

外部では、ファンであれメディアであれ、否定的な声ばかりだった。