第229章 私はあなたを信じています

時枝秋が無事なのを見て、堀口景介はほっと胸をなでおろした。

藤原修が一人に致命的な一撃を加えようとしたとき、堀口景介は叫んだ。「藤原!待って!」

「奴らは死ぬべきだ!」藤原修の声には一片の感情も込められていなかった。

時枝秋も事態が藤原修の考えているようなものではないと気づき、彼の腕に手を置いた。「あなた、ちょっと待って。」

藤原修の腕が一瞬止まり、手を緩め、首を掴んでいた男を解放した。

その男は解放されると、激しく息を吸い、死人のような顔色からようやく回復してきた。

堀口景介は四人の大柄な男たちに言った。「指導教授に伝えてくれ。これは私の決断だと。もし私に生きていてほしいなら、私の決定に干渉しないでくれと。」

その四人のうち、二人は藤原修に恐れをなし、二人は堀口景介の拳を食らっていたが、一瞬の戸惑いの後、素早く逃げ去った。

「お兄さん、一体どういうことなの?」時枝秋は尋ねた。

「私の助手が大口を叩いて、私が古代漢方医学で施針しようとしていることを指導教授に話してしまったんだ。教授は私にリスクが及ぶことを恐れて、人を寄越したんだ。さっきの二人は君を止めるために来たんだ。悪意はなく、ただ教授が私を説得する時間を稼ごうとしただけさ。」

「なるほど。」時枝秋は頷いた。彼女も気づいていた。あの二人は敵意を持って来たわけではなかったが、悪意はなかったのだと。

しかし藤原修は彼らに悪意があったかどうかなど気にしなかった。時枝秋に手を出そうとした者は、誰であろうと許さないつもりだった。

もし堀口景介が間に合わなければ、彼は本当にあの二人の首を折っていたかもしれない。

堀口景介は平静な声で言った。「時枝、私は決心がついている。指導教授にも止められない。中に入ろう。」

時枝秋は険しい表情の藤原修を見て、今彼に仕事に戻るよう言っても、きっとより不安になるだけだと分かった。

そこで説得はせず、ただ言った。「じゃあ、外で待っていて。」

藤原修は頷いた。

時枝秋は堀口景介と共に手術室へ向かった。

二人は無菌着に着替えてから、中に入った。

時枝秋は古代漢方医学を学んでいたが、現代医学のような無菌環境や手術室の配置、処置を非常に気に入っていた。

これらは当時の古代漢方医学では実現できなかったことで、このような環境で施針できることは、本当に効率的だった。