しかし、広く知らせることはできなくても、密かにこの秘密を何度も楽しむことは妨げられなかった。
時枝秋は優雅で魅力的な笑みを浮かべた。「良かった?」
「もちろん」藤原修は深い眼差しで彼女を見つめた。
彼の端正な顔立ちは魅力的すぎて、時枝秋は手を彼の首に置き、自ら薔薇色の唇を持ち上げた。
藤原修の喉仏が大きく動き、受け身から主導権を握り、彼女を椅子の背もたれに押し付けて、このキスを長く深くした。
時枝秋は彼のいる日々にますます慣れていき、彼との親密な小さな行為もますます好きになっていった。
藤原修がまだキスが足りないと感じている時、時枝秋は既に止めていた。彼女の瞳の中の陶酔は冷静さに取って代わられた。「どうして私が日本代表チームに選ばれたことを知っていたの?」
これは極秘事項で、彼女は岡元博信と葉山暁子にしか話していなかった。
木村裕貴も細かいことまで藤原修に報告するはずがない。
藤原修はまだ先ほどの甘美なキスに夢中で、思考を戻さざるを得ず、瞳に少しの残念さが浮かんだ。
「君がオリンピックの国内予選に参加して、入賞しないはずがない。唯一の可能性は、君が日本代表チームの秘密兵器として選ばれ、一時的に賞の発表を控えているということだ」藤原修は確信に満ちた口調で言った。
「どうしてそんな風に推測したの?」
藤原修は既に体を起こし、自分の椅子に座り直し、薄い唇を微かに上げた。「特に理由はない。ただ君が凄いことを知っているだけだ」
直感だった。
そして、この期間彼女と過ごす中で彼女の様々な能力に対する信頼だった。
彼がそう言う時、私の女の子は凄いんだという誇らしさが、もはや隠しきれないほど溢れ出ていた。
時枝秋は思わず笑みを漏らした。「本当に凄いわね、完全に当てたわ」
みんなは彼女が試験に失敗したと思っていた。
アンチはそう思っていた。
一般の人々もそう思っていた。
ファンもそう思っていた。
内情を知らない一部の先生たちも、彼女が本当にコンテストの賞を失ったと思っていた。
しかし目の前の藤原さんは、いつも自分を信じ、いつも自分の味方でいてくれた。
時枝秋はそのことを思うと、瞳の中の笑みがより深くなった。ある人の信頼はあってもなくてもいいが、ある人の信頼は、とても重要なのだ。