「あれ……誰?」
そして、配信ルームの4人を含む全員が、信じられない姿を目にした。
「時、時枝秋?」
司会者は慌てて選手名簿を確認し、時枝秋の名前がそこにあるのを見つけた。
彼は急いで言った。「時枝秋も今日の日本代表チームのメンバーです。皆さんもよくご存知だと思いますが……」
「知ってはいるけど、なぜ時枝秋が来たの?」とコメント欄で誰かが尋ねた。
文岩薫里も困惑した表情を浮かべ、中野敏一と六田星見は時枝秋の立っている方向を見つめていた。
時枝秋は明らかにノーメイクで、とてもシンプルな服装のまま、自分の席に着き、試験が始まると試験用紙を受け取った。
会場中にカメラとレンズが向けられる中、時枝秋は平然とした様子で、試験用紙を受け取るとすぐに書き始めた。
つまり、時枝秋は日本代表チームのメンバーだったのだ!
国際大会に参加するために!
司会者はカメラが会場内を映している間に、時枝秋の資料も読み終えた。彼は落ち着いた声で言った。「なんと時枝秋は今回の日本代表チームの秘密兵器だったんですね!」
中野敏一は興味深そうに尋ねた。「秘密兵器って何ですか?」
「日本代表チームは毎年激しい戦いを繰り広げています。通常、各チームは相手の特徴や弱点を研究して、自チームの実力を高めていきます。しかし、相手の不意を突くために、実力はあるものの普段は表に出ない選手を時々参加させるチームもあります。時枝秋は今回の日本数学代表チームの秘密兵器なんです!」司会者は理解したことを詳しく説明した。
六田星見が尋ねた。「じゃあ、時枝秋は数学の成績がすごく良いんですね?でも前回の国内数学オリンピックでは入賞していませんでしたよね。」
コメント欄の人々:「六田星見が私たちの一番知りたかったことを聞いてくれた!」
「一体どういうことなんだ?」
「秘密兵器と言えば、ローズちゃんの方が秘密兵器らしいと思うけど!時枝秋なんて何なの?」
司会者は言った。「ここで、もう一人のゲストをお迎えしましょう。数学日本代表チームの引率教師、夏目先生です。この疑問について答えていただけると思います。」
音楽が流れる中、やや厳しい表情の夏目先生が入ってきた。
司会者は彼女を歓迎し、席に着くよう促した。
この時、配信を見ている視聴者の好奇心は最高潮に達し、コメント欄には疑問符が溢れていた。