第302章 早く子宝に恵まれて……

「お姉さん、これからは修をもっと外に連れ出してあげてください。家に閉じこもらせないように」萩原衡は酒が回って、饒舌になっていた。

時枝秋は笑いながら尋ねた。「あなたたちと藤原修はいつからの友達なの?」

彼女の瞳は輝きを放ち、真摯に質問し、熱心に耳を傾けていた。

彼女のそんな様子を見て、萩原衡は話し出した。

「随分前からだよ。当時のことを話すとね、私たちの家族は、まだ離乳もしていない頃から特別訓練だの知能開発だのと言って放り込んだんだ。そんな小さな子供たちが、まだミルクを飲むことしか知らないのに、何が特訓だよ。私たちは毎日泣き叫んでいたけど、テストの時は修が支えてくれて、だから修が私たちのリーダーになったんだ」

「そんなに小さい頃から知り合いだったんですね」時枝秋は真剣に聞き入り、藤原修を横目で見た。彼のリーダーシップは生まれつきだったのだと。

藤原修は彼女を見返し、彼女の瞳の中の熱意に心を和ませた。

二人の視線が交差し、部屋全体の温度が自然と上昇した。

周りの人々は話をしながら、思わぬ恋愛の空気を味わうことになった。

「そうなんだよ。修は私たちより少し年上なだけなのに、全ての特別訓練と知能訓練を一人でこなしてしまった。私たち他の者は、ただ太子様のお供をしていただけさ」萩原衡はこの話題になると、つい藤原修の知能を羨ましがった。「はぁ、生まれつきだよ、私たちには真似できない」

「そうだね。子供の頃だけかと思ったら、大人になってからも私たちを圧倒している」本間拓海は苦笑いしながら言った。「人生は、生まれた時から不平等なんだ」

荒木俊も続けて言った。「お姉さん、これからは私たちの仲間として、一緒にお酒を飲みに来ませんか?」

この数人の心を動かしたのは、時枝秋が持ってきた数本の良質なワインだけでなく、彼女の今の態度と、笑みを浮かべた瞳だった。

笑顔には拳を上げられない、ましてやリーダーの女性なのだから。

「いいですよ」時枝秋はすぐに承諾した。

青木空は弱々しく手を挙げた。「私は他の人とは違って、千華さんの友達で、ただの見学者です」

「千華さんの友達なら、藤原修の友達でもあるわ、同じことよ」時枝秋は彼女に明るく微笑んだ。

青木空は魅了され、目の前の女性がどうしてこんなに美しくて凛々しいのかと思った。