「お姉さん、これからは修をもっと外に連れ出してあげてください。家に閉じこもらせないように」萩原衡は酒が回って、饒舌になっていた。
時枝秋は笑いながら尋ねた。「あなたたちと藤原修はいつからの友達なの?」
彼女の瞳は輝きを放ち、真摯に質問し、熱心に耳を傾けていた。
彼女のそんな様子を見て、萩原衡は話し出した。
「随分前からだよ。当時のことを話すとね、私たちの家族は、まだ離乳もしていない頃から特別訓練だの知能開発だのと言って放り込んだんだ。そんな小さな子供たちが、まだミルクを飲むことしか知らないのに、何が特訓だよ。私たちは毎日泣き叫んでいたけど、テストの時は修が支えてくれて、だから修が私たちのリーダーになったんだ」
「そんなに小さい頃から知り合いだったんですね」時枝秋は真剣に聞き入り、藤原修を横目で見た。彼のリーダーシップは生まれつきだったのだと。