時枝秋は唇を噛んで笑った。
「でも、あなたを娶れたのは彼の幸せだよ。テレビで見るよりも綺麗で、CDの声よりも甘い」青木空はお世辞を言い始めると止まらなかった。
彼女も実は隠れた玉石だった。時枝秋のファンサークルには専門的に関わっていなかったが、実際には時枝秋が発表する曲は全て即座に購入していた。
仕方がない、時枝秋の歌声の魅力が強すぎるのだ。
本間拓海はベランダでタバコを吸い、荒木俊は空き瓶を抱えながらため息をついていた。
萩原衡は自分の酒瓶を抱えて藤原修の側に行き、まだ口を開く前に酒のげっぷをした。
藤原修から白眼を一つもらった。
「大将、俺のこと嫌がらないでくださいよ。あなたの様子を見てると、まだ奥さんを完全に手に入れてないみたいですね?」
「何が言いたい?」
萩原衡の声はますます神秘的になった:「帰ったら、いいものを送りますよ」