「バイバイ」時枝秋は彼女に手を振った。
荒木俊と本間拓海は酔っ払った萩原衡を支えながら、「すぐに送り届けます!」
藤原修は飲酒していなかったので、自ら運転して時枝秋と一緒に帰宅した。
車が進む中、時枝秋は心が今までにないほど爽快で、窓を開けて風に髪を乱させた。
しばらくして、これは蘭亭花序への直接の道ではないことに気づき、彼女は尋ねた:「どこかに寄るの?」
「少し遠回りです。すぐに帰ります」藤原修は言いながら、巧みにハンドルを切り、巨大な建物を過ぎると、視界が開けた。
時枝秋は遠くを見つめた。
彼女が見た瞬間、巨大な花火が空へと打ち上がり、色とりどりの光が形を変えながら、夢のような絵巻を描いていた。
時枝秋は本当に久しぶりに花火を見て、一瞬も目を離さずにその方向を見つめ、唇の端がわずかに上がった。
本当に美しい。
まるで夢のよう。
でも藤原修の穏やかな呼吸が傍らにあり、これが夢ではなく、美しい現実だと分かった。
車が止まり、花火はまだ絶え間なく目の前で炸裂していた。
藤原修は顔を向け、時枝秋の唇に重ねた:「お誕生日おめでとう!」
彼は手を上げて彼女の頭を支え、時計の針が重なる瞬間だった。
ちょうど十二時。
一分の狂いもなく。
かすかなカチッという音が時枝秋の脳裏に刻まれ、この瞬間を封じ込めた。
彼女は顔を上げて彼のキスを受け入れ、耳元で花火の炸裂する音が徐々に聞こえ、夢幻的な色彩が空へと昇り続けた。
キスが終わると、藤原修は時枝秋の指を握り、唇に運んでキスをした。
時枝秋は彼の深い眉目と敬虔な仕草に、わずかに我を忘れた。
その瞬間、指に冷たい感触が伝わり、見下ろすとダイヤモンドの指輪が指にはめられていた。
美しいサファイアが花火の光に照らされ、一層輝かしく眩しく見えた。
「結婚指輪?」時枝秋は手を上げて眺め、見れば見るほど気に入った。
「そう」藤原修の声にはわずかな緊張が混じっていた。
まるで時枝秋がこの指輪を外すのではないかと心配しているかのように。
次の瞬間、彼は時枝秋の甘い声を聞いた:「大好き!あなたのは?」
彼女は何と言った?
好きだと言った!
藤原修は低い声で言った:「もう一度言ってくれる?」
「大好き」時枝秋は指を振って、「大好き!」