第350章 自分の実力で

思いがけず、龍崎雄が直接口を開いて、このように物事を決めてしまった。

葉山彩未は今日、マネージャーもアシスタントも連れてこなかったのに、まずは概要を話し合ってからと言っていたのに。

「では、龍崎プロデューサー、ありがとうございます」葉山彩未は驚きながらも、すぐに言った。

「よろしくお願いします」龍崎雄は手を差し出して、「後で監督を紹介しましょう。時枝さん、脚本の主な内容を葉山先生と話してください」

「はい」時枝秋は応じて、葉山彩未を連れて外に向かった。

葉山彩未は外に出てから、小声で時枝秋に尋ねた:「龍崎プロデューサーはいつもこんなに話しやすい方なんですか?」

「まあ、そんな感じですね」時枝秋は軽く頷いた。

葉山彩未は返事をしたが、噂では龍崎雄はそんなに接しやすい人ではないはずだ。おそらく時枝秋のおかげで、自分も恩恵を受けているのだろう。