「時枝秋が来たわ!」
「女の子がついに来たわ!」
「対決だ!現場で直接対決だ!」
「審査員の皆さん、あなたたちが望んでいた再試合が始まりますよ。」
「時枝秋が来たということは、きっと準備万端で来たんだろう。」
ステージ上の時枝雪穂は、突然呼吸が荒くなり、鼻翼を広げ、急な息遣いを漏らした。
いや、そんなはずがない!
彼女は手のひらを握りしめ、心を落ち着かせた。時枝秋にはどんな証拠もあるはずがない。
彼女の楽譜も時枝家で見つけた改良版で、時枝秋とは何の関係もない。
それは全て自分のものだ。時枝秋が逆風を跳ね返すなんて、何をもってして?
時枝雪穂は時枝秋の方向を笑顔で見つめ、すぐに心を落ち着かせた。
小林凌は少し眉をひそめ、時枝秋の方向に視線を向け、眉を上げて彼女を見た。