第402章 当然の優勝候補

時枝雪穂の心は少し空虚だった。

彼女も舞台裏に行って準備をしなければならなかった。

コンテストが正式に始まった。

このコンテストはs国の注目を集めていたため、会場にはs国からの記者も多く訪れ、コンテストはやはり生中継の形式で行われた。

ただし今回は、すべての決勝が同じホールで行われることになった。

生中継が始まるとすぐに、視聴者数は常に四、五百万人前後を維持していた。

定戸市大学の医学実験室では、堀口景介の前のコンピューターも開かれていた。

この時、みんな手元の実験を終え、時間を作ってコンテストを観ていた。

武ちゃんは額に時枝雪穂の応援プレートをつけ、大声で時枝雪穂を応援しようとしたが、周りの人たちの視線を見て、我慢した。

コンテストが正式に始まり、出場者が順番に登場した。

時枝雪穂と時枝秋が引いた番号札はどちらも比較的後の方だった。

そのため、みんな辛抱強く待っていた。

ついに、時枝雪穂が登場した。

彼女の一曲は、非常に優雅で抑制された濃厚な悲しみの雰囲気を醸し出し、壮大で力強かった。

クラシックピアノ曲の創作は、それ自体が目立つのが難しく、高尚な芸術が頂点に立つとき、地に足がつきにくいものだ。

しかし彼女が作ったこの曲は、準決勝での強みを存分に発揮するだけでなく、より円熟して融合し、非常に心地よい響きを持っていた。

彼女の演奏が終わると、会場の観客全員が熱烈な拍手を送った。

会場の審査員は合計5名で、その中で最も有名なのはポーランドのピアニストだった。

彼はその場で立ち上がり、時枝雪穂に最大の拍手を送り、両腕を大きく広げる誇張したジェスチャーをした。

隣の通訳も感動して訳した:「雪穂さん、これは私が今まで聴いた中で最高のオリジナル曲です!あなたは天才です!稀代の優れた創作者、卓越した能力を持つオリジナル曲の作家です!あなたを知ることができたのは私の人生の誉れです!」

時枝雪穂の顔には興奮と幸せの輝きがあふれていた。

彼女のファンたちは興奮のあまり狂喜していた:「なんてこと、雪穂がすごいのは知っていたけど、こんなにすごいとは知らなかった!」