「あなたがいる場所では、私は決して自分を危険な目に遭わせません。」
この言葉は、藤原修の耳の中で何度も繰り返され、心の奥底まで届いた。
……
木村裕貴と陸田は撮影現場で待っていた。
幸い時枝秋のオーディション番号はかなり後ろの方だったので、遅れて来ても彼女のオーディションには影響がなかった。
人々が分かれ、一人の女優が入ってきた。彼女の周りにはボディーガードが数人いた。
彼女自身はとても凛々しく、高いポニーテールで、きびきびとした黒いレザーパンツを着こなし、非常に颯爽としていた。
「新城監督に選ばれた女優の六田凛だ!」陸田は小さく声を上げた。
彼は時枝秋について回っているので、有名人を見るのは珍しくなかった。
しかし六田凛を見ると、やはり非常に憧れを感じた。
六田凛は現在では珍しいアクションスターとしてデビューし、一世代のアクション映画監督である新城宗彦が直々に育てた人気者で、ハリウッドでも名を馳せていた。