しかも皆知っているように、この鎧は二十数斤もの重さがあり、普通の人が着ると、このように大股で歩くどころか、動くことさえ困難だ。
しかし目の前の時枝秋は、少しの不快感も見せず、軽やかに歩いてきて、完全に慣れているようだった。
スタッフが彼女の衣装を整えながら、こっそりとその服を触ってみた。うん、確かに撮影チームのものと同じで、非常に重厚だ。
「始めましょう」田中監督はメガホンを取り上げた。「各ユニット準備して」
先ほどの馬が引かれてきた。
馬術師とスタッフが前に出て時枝秋を支えようとした。
彼女は手を振って、皆の手助けを断った。
藤原修の視線は彼女に注がれていた。彼は当然、彼の女の子がどんなことでもできると信じていた。しかも上手にやれると。
しかし心配の気持ちは依然として拭えなかった。