「いいえ、そうではありません。薬の投与量を間違えると、致命的な危険があるようなものです。これは医師の経験と薬の量が試されるところです」と田中先生は言った。「時枝秋、本当に素晴らしい。この子は私が想像していたよりも能力があるね」
龍崎元輝が入ってきて、田中先生が起き上がり、はっきりと話しているのを見た。時枝秋の薬の使い方の能力については既に経験していたが、それでもこの瞬間は非常に衝撃的だった。
理論的には、この程度の脳出血では、後遺症が少なくないはずで、手術を行ったとしても、このように完全に回復することは保証できないはずだ。
漢方医学は、本当にこれほど素晴らしいものなのだろうか?
彼は深い思索に沈んだ。
「元輝、こちらに座りなさい」田中先生は手を振って彼を招いた。
「田中先生、私たちのような二つの症例は、理論的には手術でしか解決できないはずですが、漢方薬の効果が現代医学の手術に匹敵するということがあり得るのでしょうか?」龍崎元輝は自分のすべての認識が覆されたように感じた。
田中先生は微笑んで言った。「よく学べば、もちろん可能だよ」
龍崎元輝は再び驚いた。彼はこれまで多くの医師に師事してきたが、こんなに驚くべき状況を見たことがなかった。
「彼女はどうやって機器を使わずに内部の状態を見ることができるのですか?」
「多く見て、多く学び、多く観察し、多く練習することだ」田中先生は重々しく言った。
龍崎元輝は考え込んだ。現代の先進的な機器に依存するようになってから、彼は望診・聞診・問診・切診といった方法についてほとんど考えなくなっていた。
……
田中先生はすぐに附属病院に転院した。
時枝秋と陸田景久は一緒に病院の中へ歩いていった。
高木孝明と龍崎元輝は二歩後ろから、彼女の後に続いた。
彼らが戻ってきたとき、すでに昼近くになっていた。
時枝秋は食堂に行き、ちょうど食事を取りに行こうとしたとき、龍崎元輝が数歩で彼女の前に来て、すでに用意した食事を持ってきた。「時枝秋、これ、君のために用意したんだ」
時枝秋は仕方なく受け取り、置いてから再び立ち上がった。
「食べないの?」
「飲み物を買いに行くわ」
「何を飲む?僕が買ってくるよ」