第31章:腐れ縁

「久しぶりだね。」中の男性を見て、西尾聡雄は落ち着いて挨拶をした。

「マジかよ、本当にお前か。帰ってきたのに一言も言わないなんて。早く車に乗れよ、どこかで昔話でもしようぜ。」

相手の熱心な誘いを断れず、西尾聡雄は黒いジャガーに乗り込んだ。

そのジャガーの持ち主は、西尾聡雄の幼なじみの佐藤然だった。

車に乗るなり、西尾聡雄の携帯が鳴り始めた……

「迎えに来なくていい。用事があるから、遅くなる。サインが必要な書類は私のオフィスに置いておいて、午後の予約はすべてキャンセルして。以上。」そう言って、手際よく電話を切った。

「今はGKで働いているのか?」佐藤然は笑いながら尋ねた。

「ああ。」

「どのくらい経った?」

「一週間ちょっとだ。」

佐藤然は額を叩いて、「くそ、上司が外地での研修に行けって言わなければ、ニュースで帰ってきたの知ってたのに。でもお前も意地悪いな、電話一本よこさないなんて。」

「かけたよ、つながらなかった。」

「ああ、そうだった。研修中は携帯の電源を切らなきゃいけなかったんだ。」佐藤然は明らかに興奮している様子だった。

30分後

二人は雰囲気の良い茶館の個室に座った。部屋は古風な装飾で、趣があった。

佐藤然は向かいの西尾聡雄を見て、心から感慨深げに言った。「どれくらい会ってないんだろう、7、8年くらいか?」

「丸7年だ。」西尾聡雄は答えた。

「時が経つのは早いな。海外に行く前はまだガキだったのに、今じゃGKの社長だもんな。」

「お前だって同じだろ。7年前は喧嘩ばかりしてる不良だったのに、今じゃ市本部の刑事課長だ。随分変わったな。」西尾聡雄は茶碗を持ちながら言った。

「言うなよ。親父が言うんだ。爺さんも警察官、自分も警察官だから、俺の代でも結婚しなくても子供作らなくてもいいけど、警察官にはならないといけないって。そうじゃないと勘当するって。」

「警察一家か。悪くないじゃないか。」西尾聡雄は淡々と言った。

「くそったれ。警察官なんてやりたくなかったんだ。給料は安いし、面倒なことばかり。任務をこなせないと叱られるし。刑事課長になるのが簡単だと思ってるのか?2年前の対テロ作戦で腹に2発被弾して、死にかけたんだぞ。」そう言って佐藤然は服を持ち上げて西尾聡雄に見せた。

「そうか。九死に一生を得たわけだ。」