第39章:陥れる

「はい、こちらで書類を記入してください」若い警官は青木岑を脇に連れて行って書類を記入させた。

西尾聡雄は黙ったまま、何を考えているのか分からなかった。

「どう?衝撃的でしょう?私も思いもよらなかったけど、売春客を一斉検挙したら、その中に青木岑の今の彼氏がいたなんて」

「彼らはもう別れている」西尾聡雄は冷静に言った。

「へぇ、それまで知ってるの?情報通じゃない」佐藤然は笑いながら言った。

西尾聡雄は黙り込み、ただ青木岑の姿から目を離さなかった……

青木岑は四万円の保釈金を支払い、ため息をついた……

やっと残った四万円の運転資金も水の泡になってしまった。幸い給料日まであと数日だから、そうでなければ本当に生きていけない。

彼女が支払いを済ませて中に入った時、寺田徹はまだ酔いが覚めず、意識を失っていた。服には口紅の跡が残っていた。