佐藤然が青木岑を認識できたのは、一つには親友の西尾聡雄が最も愛していた女だったからであり、もう一つには青木岑が年月を経ても容姿があまり変わらず、ただ高校時代の初々しさが抜けただけだったからだ。
七年前、西尾聡雄と青木岑が付き合っていた頃、時々みんなで食事をしていたことを覚えている。
その頃、佐藤然にもクラスの花形の彼女がいて、西尾聡雄が青木岑を連れてきて、四人でよく洋食を食べに行っていた。
今思えば、まるでずっと昔のことのようだ……
佐藤然は酔っ払いの携帯を開くと、案の定、連絡先に「岑」という名前を見つけた。
佐藤然は、それが間違いなく青木岑だと推測した。さらに、青木岑の写真を待ち受けにしているということは、この男が青木岑と深い関係にあることの証だった。
そう考えると、佐藤然は突然ある考えが浮かんできた……
そして、隣にいた若い警官に尋ねた。「身分証明書は確認したか?名前は?」
「はい、佐藤隊長。寺田徹です。」
「よし。」その後、佐藤然は携帯を持って留置室を出ながら電話をかけた。
青木岑はその時、音楽を聴きながらうとうとしていた。すでに深夜11時半だった。
電話が鳴った時、彼女はぼんやりと目を覚まし、寺田徹の番号を見て、少し躊躇してから電話に出た。
「徹、何かあった?」彼女の声には少し距離感があった。
「もしもし、青木さんでしょうか?」佐藤然は形式的な口調で言った。
「はい、そうですが。どちら様ですか?」
「市中心刑事課の課長です。今夜の売春取締りで寺田徹という売春客を逮捕しました。この人はあなたの知り合いですよね?彼の携帯の連絡先にあなたの番号が入っていたもので。」佐藤然は意地悪く「売春客」という言葉を特に強調した。
青木岑はそれを聞いて、明らかに驚いた様子だった。売春客?寺田徹が?どうして?
「青木さん、聞こえていますか?」佐藤然が再び尋ねた。
「はい。」
「寺田徹さんはあなたの知り合いですよね?」
「はい。」青木岑は答えた。
「では、今すぐ保釈に来ていただけますか?」
しばらくの沈黙の後、青木岑はゆっくりと答えた。「はい、すぐに行きます。」
電話を切ると、佐藤然は意地悪そうに笑い、自分の携帯で別の番号に電話をかけた。