第48章:人に頼む

「お金?ないわ、全部家を買うのに使っちゃったの。欲しいなら待つしかないわ、貯まるまで待って」

「わかりました」青木岑は言い終わると、立ち去ろうとした。

「岑、何かあったの?」

「幸治が交通事故に遭ったの」青木岑の声は少しかすれていた。

「そんな大変なことがあったのに、私に頼んでも無駄よ。あなたの金持ちの元カレに頼めばいいじゃない」寺田徹は突然そう言い放った。

青木岑は何も言わず、ただ失望の色を浮かべて立ち去った。

言い終わった後、寺田徹も後悔した。なぜ彼女をそんな風に皮肉るようなことを言ったのだろう?

「徹さん、誰の声?早く戻ってきてよ」寝室から甘ったるい女の声が聞こえてきた。

実は寺田徹のカードにはまだお金が残っていた。結婚式の費用と物を買うための二百万円だ。

もしこの時にそのお金を出したら、青木岑は感動して彼と復縁してくれるだろうか?