第52章:妥協

「いいえ」

「申し訳ありませんが、西尾社長は大変お忙しいので、予約なしではお会いできません」

「そんな態度を取るな、俺は彼の高校の同級生だ」

「それでもダメです。申し訳ありませんが、私を困らせないでください。高校の同級生なら、連絡先をお持ちのはずです。社長に直接お電話された方がよろしいかと」

関口東は強引に入ろうとしたが、GKのセキュリティシステムが厳重すぎて、1階にすら入れなかった。

まして56階の最上階になど行けるはずもない。

西尾聡雄が控えめなアウディR8で帰宅する際、関口東は駐車場の入り口で車を止めた。

西尾聡雄がすぐにブレーキを踏まなければ、ぶつかっていたかもしれない……

西尾聡雄は不機嫌そうな表情で車を止め、ゆっくりと窓を下ろした……

「西尾聡雄、降りろ。話がある」関口東は不機嫌に言った。