第119章:お見合い

「看護師長、何かあったんですか?」青木岑は小走りで看護師長のところまで行き、患者に何か問題があったのかと思った。

「早く着替えて、時間がないわ」

看護師長は青木岑を突然更衣室に押し込み、彼女は何が何だか分からなかった。

「看護師長、まだ勤務中ですよ。なぜ着替えなきゃいけないんですか?」

「この前、従弟を紹介すると言ったでしょう?ちょうど今日来てるの。病院の下のカフェにいるから、早く着替えて会いに行って。ゆっくり話してね。私の従弟はとても優秀なのよ」普段は厳しい看護師長が。

こんなにゴシップ好きな一面を見せるなんて、青木岑はまだ慣れていなかった。

青木岑は着替えを終えて、やっと状況を理解した。今の状況は、看護師長が彼女にお見合いを設定したということ?

そして私服に着替えてお見合いに行けということ?

でも既婚者がお見合いに行くのは本当にいいのだろうか?

そう考えて、青木岑は全てを打ち明けようと決心した。正直に話すべきだ。だって、人を騙すのは良い女性のすることではないから。

そこで彼女は口を開いて言った。「看護師長、実は私、すでに...」

「結婚」という言葉を言い終える前に、看護師長に遮られた。「下のカフェの窓際の席よ。白い服を着た若い男性が彼だから、早く行ってきなさい」

「看護師長、5号室の産婦の破水が始まりました。手術室の準備をお願いします」他の看護師が慌てて呼びかけた。

「はい、今行きます」その後、看護師長は青木岑の肩を叩いて励ました。「行ってらっしゃい。大丈夫よ」

「あの、看護師長、まだ話が...」青木岑は困惑した表情を浮かべた。

しかし看護師長はすでに急いで遠ざかっていった...

行かなければ、相手を待たせることになって失礼ではないだろうか?

歯を食いしばって、青木岑は看護師長の言う優秀な従弟に会って、直接説明することにした。

白衣を脱いで、ミッキーの柄が入った黄色い半袖を着て、下は薄いブルーのジーンズのまま。

髪は結ぶ暇もなく、ただ自然に下ろしたままで、ふんわりとした感じ。

初夏の季節はそれほど蒸し暑くなく、時折そよ風が吹いていた...

青木岑は深呼吸をしてから、約束のカフェに足を踏み入れた。

確かに、窓際に座っている若い男性が一目で分かった。白い服を着て、静かに座っていた。