青木岑はゆっくりと長方形の箱を開けると、中には真新しいローズゴールドの6Sが収まっていた。
これが携帯電話だったのか……
青木岑は自分の使い古した4Sを見つめた。それは弟の幸治のお下がりだった。
彼女は当時幸治に5を買ってあげたので、幸治はこの黒い4Sを青木岑にくれたのだ。
青木岑はとても使いやすかったので、ずっと使い続けていた。
思いがけず、これらすべてを西尾聡雄は見ていて、新しい携帯をくれたのだ。
このまま受け取るのは気が引けたが、断るのもかえって気取っているように見えそうだった。
結局、毎月100万円の給料も受け取っているのだから、数千円の携帯くらい大したことないだろう?
そう考えて、青木岑は携帯を部屋に持ち帰り、手作業でSIMカードを切った。
新しい携帯に入れ替えて……
その後、画質をテストするために、ベッドに座って自撮りをしてみた。
彼女は、この携帯のiCloudが西尾聡雄と共有されていることを知らなかった。
つまり、彼女の携帯の中の写真は全て、西尾聡雄の携帯に自動的に表示されるということだ。
そのため、隣の西尾さんは、部屋着姿でピースサインをしている青木岑のおバカな姿を見て。
口角を上げて、笑った……
青木岑がその後WeChatにログインすると、誰かから友達追加のメッセージが来ていた。
開いてみると、西尾聡雄からだった。
彼女は承認をタップして、追加した。
最初の言葉は「私のWeChatアカウントをどうやって知ったの?」だった。
すると、西尾聡雄は即座に「付近の人を検索したんだ」と返信してきた。
あっ、青木岑はすぐにその機能を見つけて無効にした。彼女は実は付近の人や shake it の機能が嫌いだった。
安全でないと感じ、見知らぬ人を追加したくなかったからだ。
でも西尾聡雄が追加したのだから仕方ない、結局同じ屋根の下で暮らしているのだから。
そのとき、また新しいメッセージが届いた……
西尾聡雄から8888円の送金が来た。
青木岑は受け取りをタップし、「ありがとうございます」と返信した。
西尾聡雄からはそれ以上の反応はなかった……
翌朝
朝食時、青木岑は西尾聡雄を見て言った。「今週から夜勤なので、夜は帰ってこないです」
「なぜ夜勤なんだ?」西尾聡雄は眉をひそめ、明らかに不機嫌そうだった。