第136章:好き

「医学を学んだのは、それがあなたの夢だったから」

西尾聡雄は一言一句丁寧に語った。

青木岑はその言葉に深く心を揺さぶられた……

彼女は全く考えもしなかった。西尾聡雄がアメリカで7年間医学を学んだのは、それが彼女の夢だったからだということを。

つまり、あの時二人が別れた後も、彼は彼女に関することを続けていたのだ。

しかも7年間も……こんなことをして、本当に価値があったのだろうか?

青木岑は暫く言葉が出なかった。ただ目に薄く涙が光っていた……

7年前、二人が付き合っていた時、国語の先生が「10年後」という授業をしたことを覚えている。

そして生徒一人一人に、10年後の自分の職業について想像して発表させた。

これは子供たちの心の中にある夢を引き出し、10年間努力する動機づけになるという。

アメリカのある教師がこのような実験をしたことがあり、10年後にこれらの子供たちの現状を確認したところ、驚くべきことに80%の子供たちが当時言った職業を選んでいたという。

そのため、担任の片山先生もこのような授業を行った……

西尾聡雄は他の人が何を言ったかは覚えていないが、腰まで伸びた長い髪の青木岑が壇上に立ち、「10年後、私は醫師になりたいです。人体の構造を理解し、様々な病気を治療する方法を研究開発して、人類の寿命を延ばすことは、今までで最も偉大な発明だと思うからです」と言ったことだけは覚えている。

その時、クラスメートが「ただのお医者さんじゃないか、そんなに複雑に言わなくても」と揶揄した。

すると青木岑はクールに返した。「医者をそんなに軽視して、どうするの?一生病気にならないで病院に行かないつもり?」

その時そのクラスメートは青木岑の言葉に返す言葉もなく、片山先生は青木岑の夢を称賛した。

その後、西尾聡雄が壇上に立った時、先生は彼に「あなたの夢は何?」と尋ねた。

彼は周りを見回してから、孤高の表情で「僕の夢は青木岑の夢を叶えるお手伝いをすることです」と言った。

この言葉が終わると、クラス中が騒然となった。青木岑と西尾聡雄の早すぎる恋愛関係は皆知っていたが。

しかしクラスで、特に先生の前でこんなに直接的に言うなんて、本当にドラマチックすぎた。

青木岑はその時とても恥ずかしくて、顔を覆って顔を上げられなかった。