「お昼は吉田信興と一緒に食事をしたんだ」
青木岑は一瞬たじろいだ……
「そうですか。じゃあ、私が解雇されなかったのは、吉田院長にお願いしたんですね?」
「まさか。彼が決めた後で、自ら私に電話をかけてきて食事に誘ってきたんだ」
「えっと……」青木岑は少し混乱した。
青木岑は知っていた。西尾聡雄のプライドの高さから、簡単には人と食事をしないはずだ。
今回吉田院長の食事の誘いを受けたということは、機嫌がよかったということだろう。
実際、青木岑の推測はほぼ当たっていた。吉田院長が青木岑に与えたポストは良いものではなかったが、今後は夜勤がなくなる。
そのことで西尾聡雄の機嫌は大変よくなっていた……
だからこそ、吉田信興に食事の機会を与えたのだ。
「それじゃあ、私のために口利きをしてくれたんですね?もう、困っちゃいますね」青木岑は口元を押さえて笑った。