考える間もなく、青木岑はすぐに自分の席に戻り、何事もなかったかのように食事を始めた。
アイスクリームをスプーンですくいながら、顔を上げる勇気もなかった……
西尾聡雄は彼女の困った様子を見て、口角を少し上げ、限りない優しさを目に宿した。
家に着いて、二人ともシャワーを浴びて寝ようとした時、西尾聡雄に電話がかかってきた。
「ちょっと出かけてくる。先に寝ていて」
「どうしたの?」緊急の用事だと察した青木岑は心配そうに尋ねた。
「父が高血圧で入院した」
「大丈夫?」
「まだわからない。様子を見てくる。先に休んでいて」そう言うと、西尾聡雄は上着を着て出て行った。
青木岑は実は「一緒に行こうか」と言いたかったが、西尾家の両親と自分との関係を考えると、言葉を飲み込んでしまった。