第203章：信頼

「見たわ。あの高校生が80歳のおじいさんを親切に助け起こしたのに、逆に金を要求されたニュースでしょう？本当に理不尽な世の中になったわね。お年寄りが悪くなったんじゃなくて、悪い人が年を取っただけだって言うけど。生徒の親が賠償金を払うのを拒否したら、高校まで押しかけて、生徒の足にしがみついて離さないなんて、まるで赤ちゃんみたいよ。だから私、もう二度と人の面倒は見ないわ。前回はあなたが助けてくれて良かったけど、これからはメアリー・スーなんてしないわ。冷たい人だと言われても構わない」

青木岑が矢継ぎ早に話し続ける中、西尾聡雄はただ静かに彼女を見つめていた。

最後に彼は言った。「岑、私が聞きたかったのはそのことじゃない。何のことか分かっているはずだ」

西尾聡雄が真剣な様子なので、青木岑も話を逸らすことができず、うなずいた。「見たわ。あなたと女優のニュースでしょう？その女優さん、結構可愛かったわね」