「うん」青木岑は頷いた。
「そうね、あなたはまだ経験が浅いから、もう一人の方の担当をお願いします。あちらのおじいさんは性格が良くて面倒を起こさないから。1号VIPの方は私が担当します」
「はい」青木岑はこの配置に満足していた。これが照子の身勝手な采配だとは知らずに。
「私たちの病棟は今のところ4人だけよ。患者さんが多くないから、それで十分なの。夜勤の看護師は見波さんと美絵さん。交代の時に会えるわ」
「分かりました」
「問題なければ行ってちょうだい。2号室のおじいさんは自宅で転倒して骨折したの。膝に3本のピンが入っているから歩行が不自由で、介助が必要よ。食事は血圧が高いから、肉類は避けて野菜中心にしてね」
「はい」青木岑はこれらを全て心に留めた。
ちょうど回診の時間だったので、直接2号室へ向かった。