第201章:封殺

「こんなこと、何を言い返す必要があるのか?」

「でも中尾布衣さんは私たちのレディースシューズの新シーズンの広告塔なんですよ」永田さんは泣きそうな顔をした。

社長夫人は社長を見つけられず、しきりに電話をかけてきて、彼はどう対応すればいいのか分からなくなっていた。

朝、西尾社長の様子では中尾布衣さんを知らないようだったが、中尾布衣さんは先ほどのインタビューで、言葉の端々に暗示的な意味を込めていた。何もないと言われても、誰が信じるだろうか?

多くのメディアが会社の前に集まっている中、ずっと反応しないのもまずいだろう。

永田さんの言葉に、ようやく西尾聡雄は注意を向けた。

彼は顔を上げ、眉をしかめながら「彼女が我が社の広告塔だと?」

「はい」

「誰が決めた?」西尾聡雄は不機嫌そうに尋ねた。