第218章:懺悔

しかし永田美世子が今日話さなければ、青木岑もこのような話があったことを知らなかっただろう。

「洋子、私はあの時、鬼迷いにかかっていたんだ。おそらく徳助を妬みすぎていたんだ。彼は私の運転手に過ぎないのに、なぜお前と一緒にいられるのか。私の女を、他人に手を出してほしくなかった。あの時は嫉妬心に駆られていた。徳助に申し訳ないことをしたと分かっている。」

いつも情け容赦のない青木源人が、この時になって過去と向き合い、懺悔までするとは。

永田美世子も信じられない思いだった。先ほどの話をした後、青木源人がボディーガードに彼女たちを追い出させると思っていたのだ。

「今更、悪かったと言っても何の意味もないわ。徳助は七年前に亡くなって、もう遺骨さえ残っていないでしょう。」永田美世子は涙を拭いながら言った。

「岑、お前も父さんを許してくれないのか?」青木源人は青木岑を見つめた。

「青木伯父さん、冗談でしょう。私のような一般人が、あなたに許すも許さないもないでしょう?」

青木岑の言葉は普通に聞こえるが、実は更に心を刺すものだった……

「青木伯父さん」と呼ぶたびに、青木源人は胸が痛んだ……

「岑、私も年を取った。後悔したくないことがある。誰にでも若かった時があり、誰にでも間違いを犯すことがある。私は君たちに償う機会が欲しい。本当だ。青木家で君たちの分の株式を用意してある。戻ってきてくれれば、私は……」

「結構です。株式なんて、私たちには必要ありません。青木源人、今更、お金で全てが解決できると思っているんですか?それなら、あなたはお金と一緒に一生を過ごせばいいでしょう。それと……神谷香織があなたの死後、貞節を守ってくれることを願います。でないと、あの派手な様子じゃ、落ち着かないでしょうから。あなたの死後に浮気でもされたら大変です。私たち母娘のことを心配するより、あなたの子供たちのことを心配したほうがいい。小林紅の手の中で無事に生きていけるかどうかね。」

言い終わると、永田美世子は青木岑の手を引いて立ち去った……

青木源人の表情は暗く沈んでいた……

二人が去った後、青木源人は病室の花瓶を投げつけ、水が床一面に広がった。

永田美世子は手強かった。言葉が容赦ないだけでなく、的確に急所を突き、青木源人の心配事を言い当てていた。