「でも、あなたの膝の上で寝るのを甘やかしてはいけないわ」青木岑は苦笑いを浮かべた。
西尾聡雄の愛情は、彼女を天真爛漫に甘やかしすぎていた……
二人はマイバッハの車内で一時間も過ごしていた。イオンモールから御苑までは10分もかからない距離なのに。
青木岑は西尾聡雄の膝の上で眠ってしまい、それも一時間も。
そしてその一時間、西尾聡雄はただ静かに座っていた。本当に静かな美男子だ……
「それがどうしたの?あなたが気持ちよく眠れれば、それでいいんだ」
「あなた、私にこんなに優しくしてくれて、私、傲慢になっちゃうわ」
「君には傲慢になる資格がある」
「ねぇ、早く上に行きましょう」青木岑は車のドアを開けて降りようとしたが、足がしびれていることに気づいた。
おそらく先ほど寝ていた時の姿勢があまりにも気持ちよすぎて、足が感覚を失い、まったく力が入らなかった。