第304章:この女があまりにもわがまま(11)

「本当のことが傷つくなら、時々嘘をついてもいいよ」

西尾聡雄は唇を噛んで笑った……

「何を笑ってるの?早く言って、何点?初めて作ったのよ」青木岑は焦りながら催促した。

「嘘をつくなら——美味しいって言うね」

「じゃあ、本当のことは?」青木岑は少し心配そうだった。

「本当のことは——とても、とても美味しい」

「もう、からかったのね。びっくりしたわ」青木岑は西尾聡雄がそう言うのを聞いて、やっと安心した。

スープを作る時、自分でも味見をしていて、まあまあだと思った。玲子のお父さんが作るほど上品ではないけど。

でも味は新鮮だった……

西尾聡雄は食べ物にとても厳しい人だから、まずいとか言われるのが怖かった。

でも実は、そんな心配は全く無用だった。西尾聡雄にとって。

たとえ青木岑がヒ素を作ったとしても、うん、美味しい、とても美味しいと言うだろう。