第304章:この女があまりにもわがまま(11)

「本当のことが傷つくなら、時々嘘をついてもいいよ」

西尾聡雄は唇を噛んで笑った……

「何を笑ってるの?早く言って、何点?初めて作ったのよ」青木岑は焦りながら催促した。

「嘘をつくなら——美味しいって言うね」

「じゃあ、本当のことは?」青木岑は少し心配そうだった。

「本当のことは——とても、とても美味しい」

「もう、からかったのね。びっくりしたわ」青木岑は西尾聡雄がそう言うのを聞いて、やっと安心した。

スープを作る時、自分でも味見をしていて、まあまあだと思った。玲子のお父さんが作るほど上品ではないけど。

でも味は新鮮だった……

西尾聡雄は食べ物にとても厳しい人だから、まずいとか言われるのが怖かった。

でも実は、そんな心配は全く無用だった。西尾聡雄にとって。

たとえ青木岑がヒ素を作ったとしても、うん、美味しい、とても美味しいと言うだろう。

妻を溺愛する人から、不満な言葉が聞けるわけがないでしょう?

楽しく夕食を済ませた後、西尾聡雄はキッチンへ皿洗いに向かった。

青木岑はリンゴを齧りながら音楽チャンネルの番組を見ていて、とてもくつろいでいた。

キッチンにて

西尾聡雄の携帯が鳴った……

手の泡を流し、電話に出た。

「もしもし?」

「ボス、最近ずっと誰かがあなたの現住所を調べていて、奥様のことも調べています。学校にも行って当時のことを調べているようです。どんな意図があるのかわかりません」

「止めろ」

「はい、ボス」

電話を切ると、西尾聡雄の目が深く沈んだ……

青木岑は南区で働いているが、彼は過度に干渉せず、スパイなども置いていない。

妻に対して、百二十パーセントの信頼を持っている。

しかし最近、誰かが密かに青木岑の住所を調べ始め、学校時代のことまで調べている。

これが彼に不安を感じさせた……

御苑はプライバシーが守られている場所で、購入時も青木岑の名義で、不動産登記も不動産局で細工をして隠してあり、普通の人には調べられない。

もし誰かが青木岑を尾行しても、ここまでしか辿り着けない。御苑の中は、彼が整理済みだから。

当時は両親から守るためだった。両親が青木岑に迷惑をかけることを恐れていた。

今となっては、他にも青木岑のプライバシーに興味を持つ人がいるようだ……