第302章:この女があまりにもわがまま(9)

「徹、私は最近タピオカ店をオープンしたんだけど、改装中で少しお金が足りなくて、それで……?」

「お金を借りたいのか?」寺田徹は冷笑した。

「そうなの、私には頼れる友達もいなくて、あなただけが私に優しかったから……私たちが一緒だった頃のことと、あなたの子供を流産したことを考えて、少し貸してくれないかしら。必ず返すわ。病院を出てから仕事も見つからなくて、吉田秋雪に干されているのも知ってるでしょう。もう生きていけないわ」岡田麻奈美は涙を浮かべながら、寺田徹を見つめ、委屈そうな表情を浮かべた。

寺田徹は岡田麻奈美に対して何の感情もなかった。付き合っていた時も、ただのセックスの相手でしかなかった。

しかし、どんな男でも女がこんなふうに泣きながら訴えかけてくると、多少なりとも耐えられないものだ。