第313章：今度は大変なことになった（5）

「桑原坊ちゃん……」皆は意味が分からず、なぜこの太子がこれほど長く黙って見ていたのに、突然口を開いたのか分からなかった。

「余計なことを聞くな。桑原様が行くなと言えば行けないんだ。桑原様を怒らせたら、お前らの責任だぞ」関口遥も笑いながら立ち上がった。

長田輝明は心の中では納得がいかなかったが、桑原勝の言葉に従わざるを得ず、とりあえずこの怒りを飲み込むしかなかった。

青木岑が去った後、桑原勝も完全に気が乗らなくなり、立ち上がって出て行った。

ざわめきと共に大勢が後に続いた……

青木婉子は桑原勝が出て行くのを見て、すぐに後を追った。

「桑原坊ちゃん……私は……」青木婉子は自ら進んで桑原勝の行く手を遮った。

身につけているオウムの羽飾りは、特に目立っていて、過激な装いで桑原勝の愛を得ようとしていた。

どこの命知らずが外で噂を広めたのか、桑原勝は変態的な趣味を持っているという。

いつも周りと調和しない、奇抜なものを好み、新鮮さを求めているのだと。

そして青木婉子は高額な費用をかけてスタイリストを雇い、サンダーゴッドマザー、レディー・ガガを真似た。

しかし、貧相な物まねになってしまった。ガガは常にそのスタイルを貫いているのに。

彼女が突然このような真似をするなんて、本当に命取りだった。

いい女なのに、いつも自滅する道を選ぶ……

青木重徳が嘆いたのも無理はない、青木婉子は胸だけが大きくて頭の悪い馬鹿だと。

「どけ」桑原勝は容赦なく手を振り、青木婉子を脇へ押しのけた。

さっき青木婉子があれほど悪影響を及ぼしたのに、まだ彼女と清算する暇もなかった。

幸い青木岑は無事だった。もし青木岑が少しでも傷つけられていたら、すぐに青木婉子の舌を引き抜いていただろう。

おしゃべりが過ぎるから……

桑原勝は青木婉子を押しのけた後、直接黒いランボーに乗り込んだ。

助手席には関口遥が座っていた。

「俺たち、これからどこに行く？お前の彼女を探しに行くのか？」関口遥は笑いながら尋ねた。

桑原勝は黙ったまま、アクセルを思い切り踏み込み、車は一気に飛び出した。

関口遥は冷や汗を流した……

桑原勝の考えていることは、ある程度は分かっていたが、完全には読めなかった。結局、彼は最も気まぐれな男なのだから。