第314章:今度は大変なことになった(6)

「ああ、玲子が外で遊んでて、酔っ払ってるから、迎えに行ってくるわ」

「こんな遅くに、一人でクラブに迎えに行くなんて、安全だと思うの?」西尾聡雄の声は冷たかった。

いつもと違う態度……

青木岑は何か様子がおかしいと感じた。

「あ……大丈夫よ、私は酔ってないし、それに無事に帰ってきたでしょう?」青木岑は笑みを浮かべた。

西尾聡雄はそれ以上何も言わなかったが、表情は終始冷ややかだった……

「お腹すいてない?夜食作ろうか?」

「いらない、もう食べた」

「じゃあ、お風呂の準備をしようか?」青木岑は後ろめたそうに尋ねた。

「先に寝ていろ、仕事がある」そう言うと、西尾聡雄は階段を上がり、書斎に入った。

バタンという音と共に、書斎のドアが普段より強く閉められた。

青木岑は首を傾げた。「うちの西尾様、生理でも来たのかしら?今日はなんだか様子が変だわ」

不思議に思いながらも、深く考えなかった。青木岑は先ほどの出来事を西尾聡雄に話すつもりは全くなかった。

もし西尾聡雄が、彼女が一人で二十人以上の男たちと対峙し、命を賭けたことを知ったら。

西尾聡雄は発狂するだろう。彼が彼女の身の安全をどれほど気にかけているか、彼女は知っていた。

以前、彼が彼女に巨額の保険をかけたことからも分かる。

青木岑はその後シャワーを浴び、布団に潜り込んだ……

長い間待っても西尾聡雄が寝室に戻って来ないので、結局一人でうとうとと眠りについた。

書斎にて

西尾聡雄はノートパソコンの前に座っていたが、仕事をする気配は全くなかった。

彼は隣市で会議中で、夜通しの緊急会議の予定だった。

GKの隣市での不動産投資が、地方政府の新政策により変更を余儀なくされていた。

投資した数十億円が無駄にならないよう、西尾聡雄は現場視察に行かざるを得なかった。

そして幹部たちとエンジニアを集めて夜通しの会議を開いていた。

しかし真夜中に突然一本の動画が送られてきた……

それはリックからのもので、リックと西尾聡雄は友人だが、付き合いは少なかった。

通常、特別な用件がない限り、リックが西尾聡雄に連絡することはなかった。お互いの立場があまりにも特殊すぎたからだ。

誰も知らないが、かつて西尾聡雄がアメリカにいた頃、リックやリック財閥とただならぬ関係を持っていた。