桑原勝は一言も発さず、顔を曇らせたまま外へ歩き出した……
関口遥と矢野川たちも、おろそかにはできず、後を追った。
「寝に帰るから、ついて来なくていい」
この一言を言い残すと、桑原勝は黒のランボーに乗り込み、走り去った。
残された関口遥と矢野川の二人は首を傾げた……
「岩本奈義が去ったから、寝床相手がいなくなったのかな?」関口遥は推測した。
「違うよ、岩本奈義は彼が無理やり送り出したんだぞ。あの子が行きたくなかったの見なかったのか?行く時は目が赤くなって、顔中に不満げな表情を浮かべていたじゃないか」
「じゃあ、どうしたんだろう?桑原様は最近禁欲でもしてるのか?僧侶にでもなるつもり?世の中に見切りをつけたのか?」
「違う、彼は変わり者に目をつけたんだ」関口遥は笑った。