第323章:彼女の旦那様はBOSS(5)

桑原勝は一言も発さず、顔を曇らせたまま外へ歩き出した……

関口遥と矢野川たちも、おろそかにはできず、後を追った。

「寝に帰るから、ついて来なくていい」

この一言を言い残すと、桑原勝は黒のランボーに乗り込み、走り去った。

残された関口遥と矢野川の二人は首を傾げた……

「岩本奈義が去ったから、寝床相手がいなくなったのかな?」関口遥は推測した。

「違うよ、岩本奈義は彼が無理やり送り出したんだぞ。あの子が行きたくなかったの見なかったのか?行く時は目が赤くなって、顔中に不満げな表情を浮かべていたじゃないか」

「じゃあ、どうしたんだろう?桑原様は最近禁欲でもしてるのか?僧侶にでもなるつもり?世の中に見切りをつけたのか?」

「違う、彼は変わり者に目をつけたんだ」関口遥は笑った。

矢野川は首を傾げたまま……

スピードを上げて私邸に到着し、シャワーを浴びた後、桑原勝は携帯を手に取った。

「あちらを見張っておけ。もし動きがあれば、すぐに止めろ」

「はい、若様」

桑原勝は周家が報復するという話を聞いて、青木岑に何かあるのを心配し、すぐに周家を監視する命令を出した。

その後ベッドに横たわり、スマートフォンのアルバムを開いて、あの盗撮した写真を見つめると、その眼差しは優しくなった……

「南区での療養生活が本当に懐かしいな」桑原勝は独り言を呟きながら笑った。

青木岑は早番を終えると、直接車で大學に向かい、幸治を探した。

姉弟は大學内のレストランで適当に食事を注文し、しばらく座っていた。

「姉さん、昇進してから、そんなに忙しくなくなったみたいだね。こんなに早く帰れるなんて?」原幸治は嬉しそうにラーメンを食べながら尋ねた。

「うん、南区は病院よりも忙しくないのよ。ここは療養施設だから、向こうは救急だから、概念が違うの」

「それはいいことだね。そうすれば姉さんもゆっくり休めるし、自分の時間も増えるし」

青木岑はバッグから六万円を取り出してテーブルに置いた。

「これを持っておきなさい。今は少し稼ぎが良くなったから、あなたとお母さんにも余裕ができたわ。あなたも大きくなって、彼女もできたんだから、お金を使う機会も増えるでしょう」

「ごほんごほん……姉さん、あの子は僕の彼女じゃないよ」