「大丈夫です。ただ、荒木社長にしばらくお会いしてなくて、とても会いたかったんです」岩本奈義の声は、とても柔らかく細かった。
わざとそんな声を作っているのか、それとも本来の声がそうなのか分からない。
とにかくテレビでもいつもこんな声で、それで多くの男性ファンを魅了していた。
「桑原様は今夜もモテモテですね」
数人が冗談めかして笑ったが、桑原勝は終始無表情のままだった。
数回打った後、関口遥が提案した。「お酒でも飲みに行きませんか?まだ早いし、暇なら暇なりに」
桑原勝は腕時計を見て、まだ10時半だったので頷いた。「場所を探してくれ」
関口遥はすぐに電話をして場所を予約し、みんなで向かった。
一緒にいたのは、桑原勝とそれほど親しくない人たちも十数人いたが、みな同じサークルの人間だった。