第316章:今度は大変なことになった(8)

「はい、青木社長、事態はこのような状況です」

「よかった。うちの岑が無事でよかったな。そうでなければ、長田輝明は今頃第一病院ではなく火葬場に行くことになっていただろう」

「青木さんの件については、しっかりと見張りをつけますので、もう二度とこのような失態は起こしません。ご心配なく」

「よくやった。下がっていい」

部下を追い払った後、青木重徳は岑に電話をかけようとした。

しかし、突然入ってきた青木隼人に邪魔された……

「兄さん……?」

「何か用か?」青木重徳は振り返った。

「もうイギリスのプロジェクトの監督はしたくありません」青木隼人は青木重徳が好きではなかったが、表面上は兄と呼ばざるを得なかった。

「なぜだ?うまくいっているじゃないか。父上にもお前のことを褒めたところだぞ」

「イギリスは雨ばかりで、天気も最悪だし、気分も悪くなる。向こうには友達もいないし、遊ぶところもない。退屈で死にそうです」

「父上が言っただろう。お前も大人になったんだから、遊びばかり考えていないで、私の仕事を手伝うようにと」

「手伝うなら国内でいいです。もう海外には行きたくない。とにかく、もう私を派遣しないでください。父上には私から直接話します」言い終わると、青木隼人は青木重徳の返事を待たずに踵を返して出て行った。

「ふん……見ろよ、すっかりわがままになってしまったな」青木重徳は首を振りながら、感慨深げに言った。

しかし、青木隼人と青木婉子については、もう手を下す必要はなかった。彼らはもはや何の脅威にもならないからだ。

唯一の脅威は……あの老いぼれと、その愛人だけか?

夕食時

青木重徳は青木邸の食堂で、青木源人の隣に座り、絶え間なく料理を取り分け、酒を注ぎ、孝行息子を演じていた。

青木隼人と青木婉子は外出が多く、めったに家で夕食を取らず、神谷香織と小林紅だけが時間通りに食堂に降りてきた。

「父上、最近ある情報を入手しました」

「どんな情報だ?」青木源人は果たして興味を示した。

「桑原勝が岑に目をつけているようです」

「桑原勝?桑原家の五代目当主の跡取り息子か?」桑原家の名前を聞いただけで、青木源人でさえ畏敬の念を抱かずにはいられなかった。

噂によると、C市では桑原の姓だけで、横暴な振る舞いが許されるという。