第325章:彼女の旦那様はBOSS(7)

「まるで帰りたくないみたいだね。キスしたがってるみたいだし、夜になったらお風呂も一緒に入りたいって言ってるよ」西尾聡雄は真面目な顔で言った。

「セクハラでもこんなに上品にできるなんて、西尾様、それでいいんですか?」青木岑は呆れた表情を浮かべた。

「自分の奥さんに対してするのはセクハラじゃなくて、スキンシップだよ」

「早く留めて。さもないと今夜はベッドに入れないわよ」青木岑は最後は脅しに出た。

西尾聡雄は不本意ながら立ち上がり、彼女のブラジャーの紐をゆっくりと持ち上げた……

留める前に、思い切り揉んでみて、青木岑は恥ずかしさと怒りで顔を赤らめた……

「西尾聡雄、あなた...何してるの?」

「何って...それ」

「ぷっ……こんなにエッチな一面があったなんて」青木岑は吐血しそうになった。

「人間誰でも多面性があるものさ。いつも同じじゃ馬鹿だよ」

なるほど、青木岑は彼の言うことにもっともだと思った……

だから自分からGKに来たのは、セクハラされる運命だったの?

「仕事終わった?お腹すいた」

「何が食べたい?」

「なんでもいいけど、豆腐は嫌。豆腐を食べる人も嫌い」青木岑は拗ねた。

西尾聡雄は彼女の手を取りながら笑った。「まだ誰かが君の豆腐を食べたがってることに感謝すべきだよ。誰も見向きもしなくなったら泣くことになるぞ」

青木岑:……

西尾聡雄は青木岑の手を握って専用エレベーターで降りていき、多くの社員がそれを目撃した。

彼女たちは青木岑の顔ははっきりと見えなかった。青木岑が無意識に俯いて、足早に歩いていたからだ。

でも、グループのボスに女ができたことは分かった。

「あら、噂は嘘だったのね」ある女性社員が感慨深げに言った。

「どんな噂?」別の社員が尋ねた。

「前から社長はゲイだって言われてたけど、違うみたいね。ちゃんと女性が好きなのよ」

「でも私が見た限り、あの女性はごく普通だったわ。どうして社長の目に留まったのかしら?」

「きっと社長の心を掴むような特別なところがあるんでしょうね。本当に運がいいわ。社長の女になれるなら、寿命が10年縮んでも構わないわ」

女性社員たちがあれこれと話している時、笹井春奈もちょうど退社時間だった。

後ろから西尾聡雄と青木岑の後姿を見て、胸が苦しくなった……