「まあまあ、そんなに疲れてないわ。南区は高級エリアだから、環境も設備も結構いいのよ」
「それはいいね。母から聞いたけど、君はとても努力家だって。大學はそれほど目立たなかったけど、卒業後は仕事に真面目に取り組んで、着実に昇進してきたって。僕はそういう人が好きだよ。とてもポジティブだと思う」
「あ...ありがとう、お褒めの言葉」
「僕の仕事のことも知ってると思うけど、今は銀行の融資部門の副主任になってね、給料も何倍にもなったんだ。でもこれが最終目標じゃなくて、5年以内に融資部門の部長になるのが目標なんだ。簡単じゃないかもしれないけど、頑張るつもりさ」
「それはすごいわね。夢があるのはいいことよ、頑張って」
佐々木昌のことをずっと他人事のように感じていた青木岑だったが、今こうして彼の前向きな人生観を聞いて、実際にかなり感心していた。
佐々木昌は笑って言った。「逆流に向かって泳ぐのがジンベエザメで、流されるのは死んだ魚さ」
「ふふ...面白い理論ね」
「そういえば、彼氏とは別れたって聞いたけど」
「うん、前の人とは別れたわ。吉田伯母も会ったことがある人よ」
「じゃあ、近いうちに新しい恋愛を始める予定は?それとも、結婚の予定は?」佐々木昌は探るように尋ねた。
「まだないわ」青木岑は彼が何を言いたいのか察して、すぐに話を遮った。
「そう?それは残念だな。母さんが僕たち二人はお似合いだって言ってたんだ。幼い頃から知ってる間柄だし、人柄も保証済みだし、それに僕たち二人とも仕事も安定してるから、結婚したら生活の質もきっと高くなると思うんだ」
「ふふ...お気持ちは嬉しいけど...恋愛っていうのは難しいものよ。時には周りが最も相性が悪いと思う人同士がくっついたり、相性がいいと思われた人たちが何も進展しなかったり」
「前にバーがあるんだけど、少し座っていかない?」佐々木昌はまだ話し足りない様子だった。
「ごめんなさい、夜は用事があるの。先に帰るわ」
「そう。じゃあWeChatの番号を教えてよ」佐々木昌はスマートフォンを取り出して尋ねた。
「WeChatは使ってないの。使う時間もないし」
「じゃあ電話番号は?」佐々木昌は諦めなかった。
「あの...佐々木さん、申し訳ないけど、私たち連絡先を交換する必要はないと思うわ。私たちには可能性がないと思うの」